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「せめぎあっておりあっておたがいきま」冨田冨士也 『月刊少年育成』2003年10月号より [読書記録 教育]

今回も 「月刊少年育成」2003年10月号から
冨田冨士也さんの「せめぎあっておりあっておたがいさま」より

『言いたいことを言う人ですね、帰ります-それでいいのですか?』

少年育成誌の好きな連載の一つでした
この連載をきっかけに 冨田さんの本を何冊か読みました

押しつけない-こんな考え方もあるよ
というスタンスが好きなのです (自分は真反対なのかもしれません)
ちょっと 考えさせられるところも好きです

昨日は雨が降りそうで降らない1日でした
明日から一泊二日の修学旅行ということもあり
昨日の6年生のハイテンションが分かりました

昼休みに 学校の畑に行くました
ダイコン・ニンジン・タマネギの畑にスギナがたくさん生えていました
「根こそぎ」とはいきませんが 15分間 頑張ってしまいました
草も少なくなり少しだけすっきりしました

明日も頑張ります! 頑張れるかな?








☆「せめぎあっておりあっておたがいきま」 冨田冨士也 『月刊少年育成』2003年10月号より

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◇言いたいことを言う人ですね、帰ります 一 それでいいのですか?

 自分の心の傷に磨きをかけて人の意見、批判や積極的な関わりをすりかえ
てはいけない。

 それは真剣にその打ち明けられた傷に向きあおうとする人の深める心をそ
ぐだけではなく、はぐらかされたという傷をあらたに与えることになるから
である。

 トラウマ(心的外傷)パニック障害、引きこもり、○○性人格障害、うつ、
といった心の病理を表わす言葉が広く知られるとともに日常会話のなかでも
飛び交うようになっている。

 ちょっとした知的な響きがトレンデイで、女性雑誌でもめくるようなおし
ゃれ感覚で気軽に中・高校生でもつかっている。
 別に使うことが悪いわけでもなんでもない。むしろ精神医学や心理が特別
なものとして奉られたり、疎外されることなく、私たちの市民生活になじん
で敷居が低くなったこととして歓迎されるべきものである。た

 だその中味があきらかにされることなく言葉だけが独り歩きし、

「そんな言葉も知らないのですか」

といって深め合うことを回避し使っているとしたら、心の回復や人と人との
関わりの豊かさにはつながっていかないと思える。


 25歳でフリーターという女性が相談室を訪れた。
 切っ掛けは拙著『心理カウンセラーをめざす前に読む本』(学陽書房)を
読んで
「まわりに自分と同じような悩みを抱えている人がいるので、その人たちの
 援助者になりたい」
ということであった。

「悩みって、どんな悩みをもっているのですか」

 世間話から少し本論に入るために、彼女がカウンセラーをめざす動機とも
なっている悩みを私はたずねてみた。

「義父から受けたトラウマです」

 私は彼女がごく自然に「トラウマ」という言葉を使って話を切り上げよう
としているように思えた。
 しかし、その一方で後を語ろうとしていないこともあって、私は「トラウ
マ」にこだわるしかなかった。

「トラウマって、どんなことがあったのですか」

 心の傷にふれていくこともあって私はためらい気味で問いかけた。

「たぶん、先生はいろいろなクライアントからたくさんのトラウマを聞いて
 いるのでしょうね。だからあえて話さなくてもお分かりいただけると思い
 ますが…私にとっては大変なことでした」

 彼女の言い方は「話さなくても分かるでしょう」というようなじれったさ
の込められた話し方だった。
 私はいろいろと彼女の抱えているだろうトラウマをイメージするしかなか
った。

「トラウマとして誤解していくこともあるから、やっぱり、その義父とのこ
 とを話してくれませんか」

「先生は、たいしたことはない、と思っているのではないですか。自分の苦
 しみはなかなか人には分かってもらえません。たぶんカウンセラーの先生
 にも本当の私のトラウマは分かってもらえないと思います」

 私の方もじれったくなってきた。
 そして彼女の心細い表情からはうかがえにくい頑固さも伝わってきた。か
まってほしいというメッセージと共に「私好みの関わりしか受けつけません」
というちょっとした傲慢さである。

「言葉尻を捕らえるようで申し訳ないけど、話しを聞くまえから、分かって
 もらえない、と言われてしまうのもつらいものですよ」

 すると彼女は神妙さを漂わせつつも強い口調でこう言った。

「それがトラウマの苦しみなんです。先生は何も分かっていませんね」

 自己の真実と向きあうことは傷つくリスクを背負うことでもある。私は彼
女がそのことへの憶病さをトラウマという言葉ですりかえているように思え
てきた。

 他者の苦悩と共存していこうとカウンセラーをめざすあなたが、受け身で
いいのですか。
 そんな思いが苛立ちも含めてわき起こってきた。
 私は彼女に切り捨てられる不安も覚悟しつつ言った。

「あなたは全部分かっていますね。自分がかまってほしい分、相手もかまっ
 てほしいものです。かまっていく努力を被害者になることで放棄してはい
 けませんよね」

 すると彼女はソファーから立ちあがると

「言いたいことをズバズバと言う人ですね」

と言って相談室から出ていった。あれでよかったのかと、ときどき振り返っ
てみるが、独り善がりであったとしてもあのとき、素直な自分を見失うこと
はできなかった。
 心に余裕はなかったにしろ、せめて相談室だけに″真剣″に向きあってほ
しかった。

 若者のTV番組をみてトラウマ、引きこもりをときに″錦の御旗″にして
いるように、思えてしまう私の感覚は、カウンセラーとしてズレているのだ
ろうか。

 こんなことに悩む相談が増えている。

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tomi_tomi

ハマコウさんブログ訪問有難うございました。!
by tomi_tomi (2011-11-29 08:39) 

ハマコウ

tomi-tomiさん こちらこそありがとうございます
by ハマコウ (2011-11-29 17:30) 

hiroshi

「nice」をいただき、ありがとうございました。

大きな励ましとなりました。
それは単に「nice」をもらったというだけでなく、ハマコウさんがブログを「書き続けている」という点で、大きな刺激を受けたからです。

ぼくも負けずに続けます。
by hiroshi (2011-11-29 23:18) 

hiroshi

もう一度、ハマコウさんの記事をよくよく読み直してみました。

「自分のつらい経験をもとに、人のつらさを分かってあげられる人になりたい」というのが今回(だけではないかもしれませんが)のクライアントさんの気持ちなのかと思いました。

自分のことを振り返ってみると、「表現したいけど、どう表現していいか分からない人のために、自分の表現力を磨いていこう」という気持ちがぼくのどこかにあることに気づかされました。
by hiroshi (2011-11-29 23:26) 

POP

はじめまして、こんばんは。
稚拙な私のブログに御訪問いただきまして、
ありがとうございます。
by POP (2011-11-29 23:47) 

ハマコウ

hiroshiさん nice!とコメントをありがとうございました

自分の思ったことを言えなくてあとで残念に思ったり
思ってもいなかったことを行ってしまい悔やんでみたり…
思いを表現する、思いを分かることは難しいですね
by ハマコウ (2011-11-30 05:03) 

ハマコウ

POPさん nice!とコメントをありがとうございます

by ハマコウ (2011-11-30 05:04) 

PATA

今の若い人に表現力がなくなっていることが
原因なのではないかと思います。
by PATA (2011-12-01 01:19) 

ハマコウ

PATAさん nice!とコメントをありがとうございます
「表現力」大切ですね
学校でも「言語能力」の育成に 特に力を入れて取り組んでいます
by ハマコウ (2011-12-01 04:50) 

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