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『新版 静岡県伝説昔話集』(上巻)静岡県女子師範学校郷土研究会編 1994年 ⑬ [読書記録 郷土]

今回は、4月30日に続いて、静岡県女子師範学校郷土研究会編による
『新版 静岡県伝説昔話集』(上巻)13回目の紹介です。




静岡県の羽衣出版による、すばらしい本です。


今回は「祟りと怨霊、妖怪塚と墓」にまつわる伝説の紹介です。

悲しい話が伝わっています。






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☆『新版 静岡県伝説昔話集』(上巻)静岡県女子師範学校郷土研究会編 1994年 ⑬

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5 祟りと怨霊、妖怪塚と墓



(2)安松火 (浜名郡芳川村・現浜松市)

 今から120年程前に、芳川村字安松に平野という浪人が住んでいた。


 その浪人は一人の下男と数人の家来をおいていた。


 ある夏の夜、浪人は下男を連れて外出した帰途に、あまり暑かったので、道ばたの瓜を
盗んで食べた。


 浪人は下男に向かって、この事を決して他言してはならぬぞと厳しく言い付けた。


 そして家に帰って来たが、浪人はその事が気に掛かってならない。


 そして何とも気掛かりでならないので、ついにその下男を殺して、かめの中にその死体
を投げ込んでしまった。


 そして下男の里の母親を呼びよせた。

 母親は、それを見て非常に悲しがり、また怒った。


「一体お前はどんな事をしてこんなに殺されたのか」


と言って、金火箸で、グイと頭を突き刺し、芳川に持って行って、


「もし悪い事をして殺されたなら下に流れよ、悪くもなくて殺されたものなら上に流れよ」


と言ってドブンと水に投げ込んだ。すると、頭はぼっかり浮いて、ずんずん川上に上って
行った。


 母親は非常に怒り悲しみ、


「それだけの魂があるならば、きっと仇を取れ」


と言って帰った。


 それからは、毎夜毎夜、たらい程もある大きな火の玉が、ころころと安松の村中を転り
廻った未、その平野浪人の家へ上って来て、くるくる廻って消えるのだった。


 村人は、そらまた出たと言って棒や刃物を持って追いまわしたが、ちっともつかまさら
(つかまら)なかった。


 火の玉は、いつも後になり前になりしてころころ転がった。


 村人は、それから仕方なく南を造って、それを祀った。それが現在でも祀ってあり、じ
ょうど様だという。その平野家は、間もなく廃れて跡かたも無くなった。


 そのじょうど様の宮はあまり大きくはないが、大木が茂りあっていて見るからに寒けの
しそうな所である。



 今でも、その社に雨漏りがするようになると火の玉が出るといわれている。

 また、この祭りに花火や余興をやらないと、安松に悪病が流行するといって、村人は毎
年花火やら余興をやるという。                          
                               (金原せつ)


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